昼夜逆転生活

あたし、普段ごくたまに従兄弟の話になると、決まって
『従兄弟とか誰だかわからん、ってか親戚よくわからんわ。』
って言って特に従兄弟の話をしたことがないんです。

たしかに、ひとりもいないわけではないんです。でも、母方の従兄弟は一度も会ったことないし、父方の親戚は金銭関係が汚いのであまり思い出したくなくて。

でも、今ふと従兄弟のことを思い出したんです。いま現在あたしが知り得る限り、ただひとりの従兄弟。

たぶんあたしが6歳か7歳くらいの時か、父方の実家のある新潟に帰省したときの帰り、その帰省中には一度くらいしか顔を合わせなかった従兄弟が新幹線の駅まで見送りに来て、何故かおみやげを渡してくれたんです。今思えばかわいい、麦わら帽子を象ったオレンジ色がアクセントのポシェット。
彼はたしか当時で20歳半ばくらいかな、古くさいパンチパーマ風の髪型で、いかにも『(いな)かっぺ』って感じのひとでした。
当時のあたしはどうも彼とそのポシェットが気に入らなかったらしくて日の目を浴びることはなかったのですが、妙に感慨深い思い出のひとつとなりました。

なんでそれまで一度も見送りなんか来なかっただろうにその時ばかりは来たのだろうか、というのは少し疑問ですが。


父方の実家には祖父が亡くなったときの葬儀や最初の法事以来行かなくなりましたが、いまだに祖母がお小遣いを度々お米に添えて送ってきます。
宛名の文字がだんだんよれてきているし、電話も前はよくあったけど最近はめっきりなくなってしまったので、祖母についてはかなり気になるのですが、一番憎たらしい親戚夫婦が同居しているしそもそも父親自体が憎たらしいのでなかなか遊びにも行けずにいます。



祖母とあの従兄弟だけは末永く元気にやっとってくれ、と祈りつつ腹の痛む始業式を迎える次第です。